「書のコトバ」の前回の投稿「字体」について少しだけ、踏み込んでみます。
この「字体」に関しては、大変複雑ですので、まずは深入りしないのが無難です。書の専門家ならともかく、最初から字体への理解を深めようとすることは、自ら書のハードルを押し上げようとしているとも言えます。ただ、どこかで見慣れない漢字に出くわすことがありますので、一応の心の準備はしておきたいものです。
大雑把な言い方ですが、私たちが日常的に目にして使っている字体が「新字体」であることがほとんどです。見慣れないのが「旧字体」か「書写体」であることが多いです。
私が学生時代に使わせて頂いたテキストを紹介します。日本習字普及協会発行の、『ペン字精習』です。狩田巻山先生の著作で、上巻と下巻があります。先日の、江守賢治先生の「筆順・字体字典」もそうですが、こうした先人たちとご関係者のご尽力のおかげで、私たちが効率的に書を学ぶことができることに感謝です。
例えば、「国」という漢字で見てみると、画像のようになります。
作品の雰囲気でどれにするか選ぶと良いと思います。
例えば、「国破れて山河在り」と書く場合、旧字体の「國」にして、「美しい私たちの国」と書くなら、新字体の「国」にして書き分けてみる、といった感じです。何が正解で、何が間違いということはありませんので、苦手意識を持たないようにしましょう。
一応の注意点として、一つの作品の中で、違う字体を混在させるのはあまり好ましくないという見方もあるということは、頭の片隅に置いておいても良いかもしれません。ですので、字数の多い作品になると、配慮が必要になってくるケースがありそうです。
漢字だけでなく、ひらがなの形にもいくつかの種類がありますので、次回「かなの種類」として取り上げてみますね。
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