誰かから頂いた物を、さらに誰かにあげることを、「お裾分け」と言います。
たくさん収穫された旬の野菜や果物は、保存しきれないことなどから、ご近所やお世話になっている方に渡すことがありますよね。頂いた方も、食べきれない分を、これまたお世話になっている方などにあげる。このシーンが、まさに「お裾分け」ですね。
一か月ほど前に、ご近所さんから、採れたてのイチゴを沢山頂き、親しい人に分けたので、この言葉を選びました。
中島みゆきさんの歌に、『終わり初物』(おわりはつもの)という曲があります。作詞作曲・中島みゆきさん、編曲・瀬尾一三さんです。2020年に発表された、中島みゆきさんのCDアルバム「CONTRALTO」(コントラアルト)の1曲目に収録されています。
話題になった、倉本聰さん脚本の、テレビ朝日系の帯ドラマの主題歌のひとつでもありました。
この『終わり初物』の曲の歌詞の中に、「おすそわけ」という言葉が使われれています。
そして、「終わり初物」という言葉には、旬の物で、収穫の最盛期を過ぎた頃に採れた物、と言う意味があり、これもまた初物と同様にありがたい物として受けとめられています。
そんな中で、注目したのが、「おすそわけ」と同じような言葉に「お福分け」があること。
みゆきさんが作詞する中で、迷ったかどうかは、まったく知る由もないのですが、この曲の「おすそわけ」の歌詞を、「お福分け」に置き換えて想像してみると、やはり「おすそわけ」がしっくりきます。
みゆきさんが、漢字かな混じりの「お裾分け」ではなく、ひらがなの「おすそわけ」を選んだこと。これもまた、全くわからないことですが、書に関わらせて頂いている立場として、とても興味があるところです。
歌は言葉を歌い、書は言葉を書くのだと思った時、言葉の響きや、音韻、書かれた姿、活字に印刷された姿などを限りなく検討し推敲し、言葉は綴られていくのかもしれないと感じた一曲です。
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