ある言葉を、書でどう表現しようかと考えた時、景色として表現するか、言葉の響きを表現するかの、大きく分けて、この2つのポイントがあるように思います。どちらか1つでは、成り立たないように思います。
文字の大小、墨の潤渇や濃淡、線の細さ太さなど、表現の方法は書き尽くせません。
谷村新司さんの曲、「花束ー最後の汽笛ー」のラストシーン。最後の仕事を終えた機関士である夫を、白い花束をかかえて迎える妻の言葉、「ごくろうさま」。この「ごくろうさま」の前に、「声にはならないけれど かすかに唇が動いた」と詞をつけらています。
美しい言葉を重ねて、紡(つむ)いで来られた谷村さん。その美しい言葉が生まれた大きな要因の一つが、谷村さんの美しい声であったと、私は思っています。
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